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僕は夢中になって読んだ。
そんなとき見覚えのある顔を見えた気がした。
本からそっと目を離し、見えた方向を見る。
そこにはクラスでもあまりしゃべらない夢野さんが僕と同じ死に関する本を読んでいた。
彼女は白く細かった。
あまり太陽とは無関係そうな人だ。
整った容姿から彼女はクラスの男子にも人気だった。
しかし、その分女子からの嫌がらせもされていた。
しかし、彼女は動じなかった。
強い人だ。
「あなたも好きなの?」
彼女は見ていた僕に気づいたのか口を開いた。
「人の死が」
僕の本を彼女は指差していた。
「僕は……」
あれ?いつも笑顔が出ない。
言ってはだめだ。
本当のことは。
隠さないと。
「僕は……好きなんだ」
口が勝手に動いていた。
それは、彼女の僕と同じ空気を持っていたからだ。
死を愛する空気を。
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