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ここは『傭兵育成学校(Mercenary Training Facility)』…略して『MTF』と呼ばれる場所だ。
憲法第9条を廃止した結果に生まれた学校で、時代が浅いため戦争…とまではいかないが、最低限国内で起こる暴動、テロなどに送り込まれる。
簡単に言えばテロ対策の『捨て駒』ということだ。
いずれは国外の戦争にも送り込まれるようになるだろうが、俺にはどうでもいいことだ。
俺にとって重要なのは、9年前の『栄光の日輪』の日、主に動いていたのはここから出た者とここに入っていた者だということ……
だが、俺は好んでここに入ったわけではない。
俺は『監視対象』兼『思考矯正』のためにここに入れられたのだ。
理由は単純
俺が人間にとっての侵略者と情報操作され殺された『天使』と『悪魔』…母さんと父さんに育てられたからである。
復讐心が無いと言えば嘘になるが、俺は復讐する気はない。
『憎しみに囚われずに…生きて』
それが母さんと父さんが最期に俺へ望んだことだからだ。
だから、俺はなるべく人間とかかわらない。かかわると憎しみに囚われそうになる。
なるべく遠ざけて孤独に生きる……
それが俺の結論だった。
その結果として今の状況がある。
俺は教室の後ろの角の席を常に取り、俺の前と隣の席は空いている(数が少ないこともあるが…)。
俺はそれでよかったし、全員も納得している。
つまりこの席と席の間が俺と他の奴らとの一線なのだ。
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