人間嫌いの人間

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ちなみに俺は放課後屋上で過ごすのが日課だ。 なんとなくだが、ここが一番落ち着くのだ。 今日も帰るまでのしばらくの間、ここで過ごそうと考えていた。 「父さん…母さん……」 俺は柵にもたれかかりながら服の中にしまっていたペンダントを取り出した。 そこにはなんなのかわからないが暁色(ギョウショク)の石とスギライトと呼ばれる青紫色の石がついていた。 これは父さんと母さんが俺にくれた宝物だ。 そして父さんと母さん『そのもの』でもある。 俺はこれを誰にも見せたことがない。 無論、俺をここに入れると決めた奴らにすらもだ。 俺がこれを出すのはここ…屋上か自分の部屋の二箇所だけである。 つまり誰も来ない屋上と自分の部屋の二箇所が俺にとって心安らぐ場所なのだ。 だが… 「綺麗な石…」 その憩いの場所に予期せぬ乱入者が現れた。 「誰だ!」 俺は声のした瞬間にペンダントをしまって腰につけてあった警棒を構えた。 そして乱入者の姿を確認しようとする。 だが、俺の目が次の瞬間捉えたのはM92Fミリタリーを構えて引き金を引く寸前の茶髪ミドルヘアーの同い年位の少女の姿だった。 (嘘だろ!あっちの方がアクションが遅いはずだろ!?) 俺はスローモーションに思える時間の中でそう思う。 俺が彼女の声に反応して警棒を構えるまで0.1秒、姿確認を行うまで0.1秒、計0.2秒のわずかな時間 この間に彼女は銃を構えて移動した俺の急所に狙いを定め、引き金を引くまでに至っているのだ。 いや正確には少し違う。 彼女が銃を出し始めるのは絶対に俺が警棒を取り出したあと…つまり彼女の方がアクションは0.1秒遅い。 残り0.1秒の間に先程述べた行動をやってのけた。 人間嫌いの俺ですらこのことに関しては流石に感心せざるを得なかった。
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