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「待って!」
だが、彼女は俺の腕をつかんで引き止めてきた。
何なのだろうと思って振り返る。
「名前…教えてくれる?」
「……」
まいったな…そう思わざるを得なかった。
ここで答えなければ俺は人としてどうかと思われるが、別にいいとも思われる。
だが
「『辿麻 暁兎』…暁(アカツキ)の兎(ウサギ)と書いて暁兎(アキト)」
俺は思わずそう答えてしまった。
まあ、どっちにしろ俺が彼女に対する態度は変わることは無い。
そう思いながら少女に背を向ける。
「美卯…私は『神薙 美卯(カンナギ ミウ)』……さっきは本当にごめんなさい…」
だが、やはりと言うべきか彼女は自己紹介をしてきた。
それに対して俺はいつも通りの受け答えをする。
「いいよ…気にしてないし
あと…俺は人間嫌いだから…」
それだけ言って呆然としている彼女を置いて階段を降りて行った。
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