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午前の授業の終了のチャイムが鳴る。
桐葉高等学校、屋上。
「おい、昶。午前の授業終わったぞ」
「ん……」
白風昶は、大きなあくびをしながら起き上る。
その隣に幼馴染で唯一の親友、辰巳音操が腰を下ろした。
昶は薄い茶色の癖毛をがしがしとかき、音操が差し出したパンを受け取った。
「午後は出ろよな」
音操は購買で買ってきた焼きそばパンをかじりながら、ぼそっと言う。
「えー。やだよ」
昶は、音操に向き直って言い返した。
音操はそれに苦笑いを浮かべる。
「即答かよ」
パンを食べ終わると、音操はビニール袋を手に立ち上がる。
「さて、そろそろ昼休みも終わるな。行くぞ、昶」
しかし、昶はむすっとしたままパンを食べていた。
親友は、ため息をつき、ヘッドフォンをつける。
昶はそれを無視してかじり続けていたが、いきなり制服の襟首を掴まれ、パンをのどに詰まらせた。
「――いきなり何すんだっ、音操!」
音操の拘束からなんとか逃れ、せき込みながら言った。
しかし当の幼馴染は、不敵に笑って、昶に背を向ける。
「さっさと来いよ」
ひらひらと手を振りながら、屋上の入り口に向かって歩き始めた。
彼の栗色の髪が風に揺れる。
音操の姿が校舎の中に消えたあと、昶はため息をつきながら立ち上がった。
「仕方ねえなぁ……」
言葉とは裏腹に一瞬嬉しそうに微笑み、ベルトのようなチョーカーをつけた首にさわりながら親友の後を追う。
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