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吟は音操の肩に手を置き、真剣な顔で言う。
「俺と音操は、特殊な血液を持って生まれた人間、ストレンジ・ブラッドだ。そして、お前も」
昶は目を見張る。
「ストレンジ……ブラッド?」
助けを求めるように音操に目を向けると、親友はそっと目を閉じた。
「特殊な力を宿した血液。それを生まれ持った者はストレンジ・ブラッドと呼ばれ、ABO型以外の血液型のことをいう。まあ、隠された血液型って、俺たちは呼んでるけど」
彼は、力なく首を振る。
「意味わかんねェよ……。一体、なんなんだ……?」
言葉を見つけられず、迷っている音操を見かねて、吟が言った。
「あー、自覚してないのか。俺はブラッドタイプD、『死』の血液を。音操はブラッドタイプH『治癒』の血液を持ってる。んで、お前はブラッドタイプL『光』の血液を持ってるってわけだ」
吟は大股で昶のもとに来ると、顔を寄せてくる。
「はじまりの血液、L型なのはお前だけなんだ」
昶は後ずさり、目を見張った。
「はじまりの……?」
その時、重くのしかかるような感覚がする。
「なっ」
彼は、きょろきょろと周りを見回した。
しかし、音操と吟は二人して一点を見つめる。
昶もそちらを見、戦慄した。
そこには、空間をそのまま切り裂いたような黒い穴が開いていて、そこから漆黒のトカゲじみた生物が出てくる。
「な、なんだよあれ!」
生物が十数体出てきたところで、その穴から漆黒のローブのフードを深くかぶった人物が出てきた。
人物は、だらりと腕を下げたまま、静かにたたずんでいる。
「お前は誰だ」
吟は背負った袋から黒い刀を取り出し、即座に抜刀する。
ローブの人物から、絶えず重いプレッシャーが放たれている。
そのプレッシャーだけで、体が押しつぶされてしまいそうだ。
「光と闇の力を持つ者よ。我らともに来い」
人物は手を差し伸べ、言った。
「は……?」
昶は一歩後ずさる。
「行くわけないだろうが」
音操が目を細めて、静かに言う。
ローブの人物は、微かにうつむき、首を振ったように見えた。
「まったく、仕方ないか」
そして、差し出していた手をすっと横に振ると、トカゲのような生物が、わっと三人に群がってきた。
「う、わっ」
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