寂しがりな君たち

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あたしは膝立ち、彼は座っている。 抱き締めながら話す言葉は段々と満ちて行き、溢れてきっと彼は言葉を拾うのをやめるだろう。 早くこれが終わらないかとばかり思っている彼の心情があたしには分かる。 彼にとってあたしはバカな女でしかない。 「俺」と寝たただの女でしかない。 でもあたしにとっても彼はバカな男でしかない。 ただの男でしかない。 ふぅっと息を吐いて彼の耳たぶをかじった。 所詮女と男なのだ。 あたしは彼と寝ることを選んだバカで、おろかな女。 彼はあたしとしたくて、彼氏のいるあたしにアプローチをかけ続けたバカで侘しい男。 「……いた」 彼の言葉があたしの身代わりになる。 彼の奥底に根付いているものの身代わりにもなる。 いつか あなたに幸せが訪れますよう
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