終章

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「さて、ここからが先ほどのことだよ。ハナエちゃんはあの万華鏡は瀧上家が作ったモノだと確信していた。瑚珠、訪ねてきたのは瀧上の家を継いだ長男だ。本来ならあそこを継ぐのは長女だと聞いていた。けれども、その長女が当主にはふさわしくないと先代が判断したんだ。聞いていた限り、その判断は正しいと思う」 咲は瑚珠に瀧上とのやり取りをかいつまんで話した。 「判断は正しいけれども、長女にしてみたらそうは思わないんだろうな。厄介なことになってたぞ。腕も力もあって、でも歯止めが効かないやつが家出して野放しとか。最悪じゃねぇか。あの万華鏡だってそいつの仕業なんだ」 登はうんざりした様子だ。 「瀧上って……。あのガラス工房の、だよね。心置き場にもいくつかあそこの古いモノがあるけど……正直触りたくないモノだよ。嫌だなあ、今回だって私の力ではどうにもできなかったもん。手に負えないよばあちゃん」 瑚珠の表情は珍しく暗い。 咲はそんな瑚珠の弱気な言葉をさえぎった。
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