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間を開けて、不定期に、気に入らないページがあれば時に連続して。
雑誌の音が、部屋を跳ねる。
本来なんでもないこの音も、桜井にとっては気に入らない人間が鳴らしているというだけで不快であった。
無言を貫く彼には、ただ耳を手で覆って苛立ちが沸くのをやり過ごすしかなく、しかしそれも何故自分がそうしなければならないのかという別の苛立ちを沸々とさせる原因となってしまう。
そしてまた彼女に苛立ちを募らせる。
そうやって、また彼は一人の人間を嫌いになっていく。
苛立ちを抱えたまま、今日もまた彼は眠りと無意識の世界に落ちていく。
どうして嫌いになっていくのか。
それは、嫌いだからなのだ。
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