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桜井は大学周辺に居を借りる下宿生であり、親は遠くにいる。そのためなかなか見舞いにも来られない上、仕事が忙しいのか便りもほとんどない。
自宅付近の病院への転院は先進的な施設がその病院にないことから担当医が勧めず、彼もそれに同意した。
また、彼は大学の友人の数もそう多くない。
学科の友人が数人は見舞いにきたが、それも一度きりのことで、今回の入院で友人たちとの付き合いの度合いがほとんど直接的に彼に伝わった。
それなら院内の人間と仲良くなればいいのだが、彼はそれをしなかった。
桜井は誰も寄せ付けなかった。
誰も寄り付かず、誰も寄せ付けない桜井。なるべくして、彼は一人になったのだ。
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