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今のように部屋で一人になった桜井は、独り言がたまに出る。
どうせ、これでもう、誰も。
たまに看護師が耳にすることがあったが、その看護師も気味悪がって、そのことについて彼に問いかけようとはしなかった。
断片的な独り言は、彼自身を酔わせる風だった。
ただでさえそのような接しにくい言動をする上に、彼の状態が状態であるために、ほとんどの人がなるべく彼との接触を避けようとするのだ。
誰もが彼を見放し、彼は見放され、仕事という鎖が彼と病院関係者の人々を辛うじて繋いでいた。
そして、その細くも固い繋がりが彼を生かしていた。
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