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ーーーーーーーーー ーーーーーーー ーーーーー 「さてと、ちょっと散歩でもいくか。」 ホテルのロビーを横切ったとき、なにやら片言のへたくそなイタリア語と、 イタリア人のやりとりが聞こえた。 「ん・・・!?」 俺はみょーな違和感を感じて振り向くとフロントでさっき空港で会った日本人の娘が 困ったイタリア人のフロントの男と何やらやりとりしていた。 「ノン!ノン!!あーどうしたらいいの!?」 困った彼女にフロントがしきりにイタリア語で話していた。 (あーイタリア語あまりわかんないのかー。めんどくさいやつ。 あーあのイタリア人のフロント英語もだめだしなぁ。 ほっとくかぁー。 いやでも女の一人旅みたいだしなー。) はぁー。ため息をついて俺はフロントへむかった。 「予約入ってないって言ってるぜ。今はシーズンもあってか部屋も満室だから空いてないみたいだぞ。」 急に俺が話しかけたからかびくっとして彼女が振り向いた。 「あっ・・・・・!あなたは・・・!」 「たぶん他のホテルも同じとおもうぜ。予約とってからこなかったのかよ。今のローマは予約してないと おそらくどこも満室だぜ。」 「えっ!!!とってもらったはずなの!兄さんが任せておけって言って !なんで!!どうしよう。」 もういっぱいいっぱいなのか、真っ青になって彼女は呆然としていた。 (ちっしかたねぇな。)俺はフロントにイタリア語で話しかけて、フロント係りからにこにこ感謝 されて、彼女の方を向いた。 「おいっ!!行くぞ!!」彼女の荷物をフロントの横にいたポーターに渡してエレベーターに急いだ。 「えっ!!あっあの!えっ???」 彼女はどうしていいかわからないまま俺の後を追ってきた。 最上階のボタンを押して彼女がエレベーターに乗るのを確認してから俺は扉をしめた。 階があがっていくのを見ながら彼女が俺をみながら 「あの・・・。」 チーン!最上階の扉が開いて、「降りるぞ。」俺がそう言ってエレベーターをおりてすたすた廊下を すすんで部屋の鍵を開けた。 「入れ。」そう言って俺は部屋の中へ入った。
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