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周りの木々が頭上で多くの葉を茂らせている。
重なり合う葉は強い日差しを和らげ、辺りを緑に染め上げる。
枝葉の隙間から洩れる数少ない光が白い筋となって降り注ぎ、ゆるやかに吹き抜ける風をパートナーに舞い踊る。
私は目を細め…そんな幽玄の世界に身を任せていた。
「…で、そのまま昼寝していたの?」
「はい…」
「あなたはあの森に森林浴に行く事が目的だったのですか?」
「いいえ、違います!!」
「あら、じゃあ何しに行ったのか教えて頂けますか?」
「課題の薬草の採取で向かいました」
「なるほど、てっきり忘れちゃってると思ってました」
「…先生!?」
「だってねぇ、簡単な採取に向かって半日以上帰ってこなくて、捜索隊に見つけられる生徒なんて過去に例が無いもの。捜索隊から倒れていと報告を受けた時には、みんな心配したんですからね!!」
「不祥事的な意味で?」
「学園長はそうかも知れませんが…。って茶化してごまかさない!!」
「すみません」
「ほんと反省してる?」
「反省しています」
「…では反省文と1週間の謹慎を申し渡します」
「謹慎すると課題の薬草採取に行かれませんが、どちらを優先すればいいのでしょうか?」
「また捜索隊を編成させる気ですか!?」
「つまり謹慎が優先ですね?」
「はい。くれぐれも問題を起こさないように。では下がりなさい」
「失礼しました」
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