プロローグ

2/8
16人が本棚に入れています
本棚に追加
/108ページ
周りの木々が頭上で多くの葉を茂らせている。 重なり合う葉は強い日差しを和らげ、辺りを緑に染め上げる。 枝葉の隙間から洩れる数少ない光が白い筋となって降り注ぎ、ゆるやかに吹き抜ける風をパートナーに舞い踊る。 私は目を細め…そんな幽玄の世界に身を任せていた。 「…で、そのまま昼寝していたの?」 「はい…」 「あなたはあの森に森林浴に行く事が目的だったのですか?」 「いいえ、違います!!」 「あら、じゃあ何しに行ったのか教えて頂けますか?」 「課題の薬草の採取で向かいました」 「なるほど、てっきり忘れちゃってると思ってました」 「…先生!?」 「だってねぇ、簡単な採取に向かって半日以上帰ってこなくて、捜索隊に見つけられる生徒なんて過去に例が無いもの。捜索隊から倒れていと報告を受けた時には、みんな心配したんですからね!!」 「不祥事的な意味で?」 「学園長はそうかも知れませんが…。って茶化してごまかさない!!」 「すみません」 「ほんと反省してる?」 「反省しています」 「…では反省文と1週間の謹慎を申し渡します」 「謹慎すると課題の薬草採取に行かれませんが、どちらを優先すればいいのでしょうか?」 「また捜索隊を編成させる気ですか!?」 「つまり謹慎が優先ですね?」 「はい。くれぐれも問題を起こさないように。では下がりなさい」 「失礼しました」
/108ページ

最初のコメントを投稿しよう!