プロローグ

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教員棟を抜けて外に出ると、すでに陽は暮れて街頭が灯っていた。 ふぅ…。 今期の薬草学の単位は絶望的かぁ。 課題の提出期限は謹慎中だけど、不祥事を出した私のために延長するとは思えないよね。 まぁ他は差し迫った課題や試験は無いし、被害は少ないかな? そんなとりとめのないことを考えながら帰っていると、不意に後ろから声をかけられた。 「眠り姫はやっとお帰りかい?」 振り返ると、すぐ後ろにいたらしくニヤリと笑った口元が目に飛び込んでくる。 「ハル? もう知ってるのね…」 目線を少し上にずらすと切れ長の瞳が楽しげに更に細くなっている。 「当たり前だよ。捜索隊が出る前に内部で確認したに決まってるだろ?」 止めていた足を再び動かして寮に向かうと、ハルは横に並んで歩く。 「どこまで知れ渡ってるの?」 「クラスメイトと生徒会、寮の関係者には確認をとっていたから、そこらはまず知ってるね」 「…つまり私の周りは全員知ってるのかぁ」 「そうじゃなきゃ確認の意味無いだろ?」
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