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まさにぃは、更に続けた。
その間も、僕の背中を優しく擦って安心させてくれた。
「…俺は、紺のどんな部分も受け入れる。
駄目な所も、酷い所も、我が儘な所も……たとえ、全部見たとしても、俺は紺を嫌いになったりしない。離れたりしない。どこにも行かない。
だから、俺には……俺にだけは、安心して全部見せてくれ。…遠慮しないで、何でも言ってほしい。」
……まさにぃ…………。
そんなこと言われると、僕……ほんとに………ほんとに抑えられないよ?
もう……なんでも言っちゃうし……なんでもしちゃうよ?
それに、もしかしたら……
「……まさにぃを………傷つけちゃう……かも…」
……それでも、いいの?
「いいよ。」
腕の力を少し緩めて、僕に微笑みかける。
「それで紺が安心できるなら、笑っていられるなら…。
紺が幸せでいられるなら、俺はどうなってもいいから…。」
まさにぃは、僕の髪をくしゃっと撫でた。
……どうしてそこまで言えるの?
……どうしてそこまで言ってくれるの?
聞こうとしたけど……まさにぃは既に僕の質問を、先読みしてた。
「……昔のどうしようもない俺を……誰にも理解されなかった俺を救ってくれたのは…紺、きみだよ。
俺の悪い所、弱い所、ズルい所、醜い所……全部わかった上で、受け入れてくれた。
……こんな俺でも、紺は『優しい』って言ってくれた。
あのとき、紺に会っていなかったら…今の俺はいない。
俺が今、笑っていられるのは、紺が受け入れてくれたお陰なんだよ。
俺はもう充分救われた……だから、次は俺が紺を受け入れる番なんだ」
「ま…さにぃ」
そんな風に………僕を特別に……思ってくれてたの?
それを……知らなかったとはいえ、僕は……。
疑って……
嫉妬して……
傷つけようとして……
無理強いしても、しなくても。
必死になって繋ぎ止めなくても。
まさにぃは僕の事、こんなに想ってくれてる。
うん………そうだよね。
いつだって、まさにぃは僕のそばにいてくれた。
まさにぃは、きっと……僕が悲しむような事はしない。
うん…………この人だけは、信じても大丈夫。
僕は、生まれて初めて……強く、そう思った。
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