忘れたピース

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神村が俺に渡してきた物。それは一枚の白いベースボールシャツだった。 広げて見てみると背中に名前の刺繍が入れてある。 真田 勇貴、山田 隼人、神村 一馬、横山 和輝。 浅田 理恵、新井 麻理奈。 「これって?」 「退院祝いの記念のシャツだよ。皆で金を出し合って作ったんだ。それに、離れても一緒に過ごした時間を忘れないようにって意味も込めてる。皆はもう持ってるぜ?」 そう言われた俺は周りにいる皆に視線を移した。 すると皆は微笑みを俺に見せて頷いていた。退院当日にこんなサプライズが用意されてるなんて……。 すっげー感激してる。それにやっぱり持つべきものは友って奴なんだな。 「皆、本当にありがとう! この一日は最高の贈り物だ! 絶対に忘れないから!」 忘れられないだろ。こんな楽しい一日。 あまりに嬉しくて自然と笑みがこぼれる。 高校が終わりそれぞれの道を歩む俺達。一緒に過ごした時間は掛け替えのない宝となるだろう。 そして俺は見つけたい。無くしてしまった大切な記憶を。
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