ろの段・仇討ち本懐遂げ候(前)

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男が一人立っていた。 「これが芝居ならどれだけ良かったことか。なぁこれが結末って奴かい」 流れる涙を止める策を忘れたかのように、男はただただ流れる涙をそのままに。 暮れ六つの鐘の音が鳴っているのに、男の耳には入ってないようだ。立ち尽くしたまま。だが、四半刻経つか経たないかその頃。男の背後に人の気配が忍び寄っていた。
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