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包みの中には、上質とは言えない和紙で折られた紙人形。それも男雛。
「男雛だねぇ……」
桃太郎が吐息を溢しながら、呟く。根っからの芸者のようで、その呟きすら、艶っぽい。
桃太郎自身は艶っぽさなぞに構ける事なく、お百度石を流し見る。
なぜ、此処なのか。
首を傾げたが、何の変哲も無いお百度石。謎が解けそうなものは何も無かった。
「夫婦雛、だろうな」
信介の声に、桃太郎は我に返る。
「夫婦雛?ということは、二世の誓いでも交わした二人ってところかい?」
桃太郎の問いかけに、信介は、そうだろうな。と呟いてから、煙管を取り出し、葉を詰めて、火をつけ、煙を燻らせた。
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