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何がおかしいのかは、明確には分からないけど、直感がそう訴えてくる。
「…もしもし…食事会終わった?」
わざとカマをかけるように聞いてみた。
本当は、家族との食事会じゃなくて、お見合いパーティーだったのを知ってる。
そして、今し方、その会がお開きになったのも知ってる。
『うん…もう終わったよ』
夕子さんは、俺が本当の事を知っているなんて、夢にも思っていないんだろうな。
テキトーな返事を返してきた。
「そう…じゃあ迎えに――」
軽く凹みつつ、現在地を探る為に仕掛けてみると
『大丈夫だよ。今送って貰ってる所だから』
早口で俺の言葉を遮ってくる。
彼女の焦りが電話越しに伝わってきて、確信した。
例のイケメン歯科医師さんと一緒に居るんだって。
「…誰に?」
彼女の口から本当の事を聞きたかったからなのかもしれない。
だから、分かってるくせに、敢えて聞いてみた。
『誰って…父親、に』と、気まずそうに言ってくる夕子さん。
……へぇ、父親ですか。
「それ…本当?」
…嘘、吐かないでよ。
態度でバレバレだし、こっちは全部知ってんだからさ。
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