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アンは、素早いドリブルでゴール下からサイドに抜けると、矢のようなボールを沙羅に送った。
味方チームは、自陣に戻り切れていない。
何とか横から香也が割って入ろうとする。
しかし、ボールはあっという間にレッグスルーされる。
ボールの行方を見失った香也の動きが一瞬止まる。
それを待っていたかのように、沙羅がぐいと体を入れて前に抜けた。
「何だ。今のは」
渚は自分の目を疑った。
瞬きする間に、沙羅はおそらく3メートル以上位置を変えた。
渚にはそれが、姿を一瞬消して3メートル以上先に突然現れたように見えたのだ。
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