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『この間、三神さんと会った日。岳君と奏汰君と遅い時間まで飲んで。その帰り。岳君と2人っきりで帰ったんです。』
そして、俺と弓弦さんが時計を買いに行っていたあの日の話になった。
『寒いなー。しかし。』
岳君は少しほろ酔いの状態なのかテンションが上がった状態で言った。少しスキップ混じりで歩いていく。
『転んだり怪我しないでよー。』
私はそんな岳君を心配しながら見て言った。
岳君は私を見てにこりと笑う。
『僕は大丈夫。それより真帆の方こそ風邪ひいたりしないでよ。大事なイベント控えてるんだから。』
岳君はそう言ってポンポンと私の頭を撫でる。
変わらない岳君に私は冬なのに顔を赤らめた。
あのさ。
岳君は独り言のように呟く。
縁石から縁石を綱渡りのように慎重に歩いていた。
『どーしたの。酔っ払いさん。』
私はそんな岳君を見て、茶化して言った。
『真帆はさ。結婚とか考えないの?。』
岳君のその言葉が私には痛く刺さる。
しかし私は平然を装って笑顔のままでいた。
『うーん。仕事忙しいからね。なかなか。相手もいないし。まぁ、いつかはしたいけどさ。そーいう岳君は?。』
笑顔にならない笑顔で私は言った。
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