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俺はため息も吐けなかった。
西河にどんな皮肉を言われても。
怒る気力も何かを行動する気持ちも。
全て、俺から奪われていった。
俺達はそのままアパートまで着いてしまう。
俺は2階へ。そして西河は1階の自分の部屋へと帰っていく。
その時。
『じゃあひとつだけ。僕から助言というか助け舟というか。今の君は1人で抱えすぎだ。もっと周りを見て。今までの君ならきっとなんとか出来ると思うよ。』
西河はそう笑いかけて自分の部屋へと入っていく。
助けか。
おそらくこのアパートの住人達のことを言っているのだ。
今更…今更俺がどのツラ下げて助けを借りるんだよ。
今回ばかりは1人でなんとかしないと。
そして、次の日。
何も知らない弓弦さん、そして二宮さんと一緒に柄本さんが参加するヤンデレエブリデイのイベント当日となった。
俺が駅前で待っていると弓弦さんが無邪気な笑顔で俺の方に走って近づいてきた。
『おはよー。大ちゃん!。今日はありがとー。岳さんとゆっくり話できる機会もありそうだし。来てよかったー。』
弓弦さんは非常に嬉しそうに俺の手を小さく握った。
俺は苦笑まじりに
『ええ…。はは…』
としか言えなかった。
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