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『い、いえ。私達も今着いたとこですから。』
顔を真っ赤にする弓弦さん。
分かりやすい。
相変わらず俺はそう思う。
これにお互いに気づいてないとは本当に鈍感同士の2人だ。
『さぁ、待たせて悪いけどさっそく行こうか。前の方の席取るよー。』
二宮さんは少年のように走っていく。
『あ、待ってくださいよー。』
そんな二宮さんを嬉しそうにはしゃぎながら後をついていく弓弦さん。
俺はそんな2人についていけずただただなんとか絶望の淵でゆっくり這いずるように歩いていった。
俺が2人からしばらくして遅れて着くと整理券らしきものを配る列が出来ていた。
だが、やはり俺達の街は田舎だ。
俺が着いた時にはまだ、10人ほどしかいなかった。
アニメ、ゲーム、声優そういったイベントに来るファンは少ないのだ。
と思っていたのだが…
30分もしないうちに会場は満員になった。
キャパ500人ほど。
それでも700人はいるだろうか。
運が良かったとただしみじみ思った。
『やっぱりこういう活気のあるイベントは嬉しいなー。この街でもこうやって人が集まるって素晴らしいね。』
二宮さんは隣にいる弓弦さんに言った。
『そうですね…。へへ。』
嬉しそうな弓弦さん。
俺はそんな2人をあまり見ていられなかった。
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