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『…なにをです?。』
俺は聞きたくなかったのでゆっくりとゆっくりとそう聞いた。
『私、今日、岳さんにクリスマスの予定を聞く。そして、2人で仕事終わりに出かける。』
俺が予想していた反応だ。
俺は内心、焦っていた。
できるだけできるだけ弓弦さんに二宮さんのことは知られないようにしなければいけない。
心の中でそう息巻いていた。
『私、やっぱり好きなんだって今日改めて思わされたの。岳さんのひとつひとつの表情が。その全てが。だから、もう我慢できないの。この想いは。』
弓弦さんはそう晴れやかな顔をしている。
俺とは正反対の。
『別にそんな焦らなくていいんじゃないですか。』
俺はそうニコニコとしながら言った。
『いや、だってもうクリスマスまで1週間も無いし。それに早く言った方がいいって大ちゃんも言ってたじゃない。私に勇気をくれた大ちゃんが、なんで今になってそんな消極的なこと言うの?。』
弓弦さんは不思議そうなだが少し怒った表情で俺を見つめる。
俺は返す言葉が見つからなかった。
俺は俺自身を否定しているとよく分かったからだ。
どうしたらいい。
どうすればいい。
どうしたらうまく誰も傷つかずにいけるんだ。
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