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『…最低。』
弓弦さんはそう言ってひとりどこかへと歩いて行った。二宮さんの方ではない。
だから、今日は言わないのだろう。
俺はそんな安堵した自分を最低だと思って小さく舌打ちした。
俺も帰るかと思ってゆっくりと帰路へと向かっていった。
結局俺は何も思い浮かばぬまま何日も時間を無駄にしていった。
それからクリスマス前日になった。
その夜のことである。
『今日も仕事お疲れ様ー。明日、というか今日というかクリスマスだけど一杯お客様が来るだろうし派手にやりたいからみんな明日も頑張ろうねー。』
岳さんはそう言って普段の水商売っぽくない穏やかな感じでみんなに言った。
私もクリスマスは仕事頑張ってその後に絶対に想いを告げる。そう決意していた。
『あの、二宮さん。少しいいですか?。』
店の女の子が岳さんに近づいてきて一枚の写真を見せる。
岳さんはその写真を見て少し驚いたような顔をする。
そして、その子は岳さんに見せた後、みんなにひけらかすように見せた。
その写真には私と大ちゃんそして岳さんが仲良く3人でいるのが映し出されていた。
『こんなこと許していいんでしょうか?。くるみさんが同伴を断っていたのは…こういうことですよね!。』
その子は私を睨み付け、言った。
周りはざわざわとしだす。
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