先輩×後輩

10/12
前へ
/25ページ
次へ
いきなり恭介に抱きしめられて 驚きが隠せなかった。 「違う…。そんなんじゃない。珍しかったとか…そんな風に思ったことない。」 違う…? 僕の勘違い…? 「初めてあったとき、お前は居場所がないって言っただろ?…昔の俺もそうだったんだ。…居場所がなかった。」 恭介が…? 考えられない。 「俺と同じ思いで生きていってほしくなかった。助けたかった。だから拾った。」 “助けたかった” その言葉が身にしみてリピートする。 嬉しさでさらに涙がでた。 「でも、いつの間にかお前を意識するようになった。…ドキドキした。…俺も… 咲矢が好きなんだ。」 嘘…。信じられない…。 「ふぁっ…うっ…ほんとに…?」 涙が溢れてとまらなかった。 「本当。この気持ちがなんなのか 分からなかったけど、咲矢に好きって言われて気づいたんだ。…咲矢が好きって。」 照れながら言う恭介は なんだかかわいかった。 「うっ…わあぁぁん…!!」 嬉しさで涙がとまらない。 「もう…。悩んでたのがバカみたいじゃないか、僕。」 「早く言ってくれればよかったのに。」 「いえる訳ないだろ。今の生活を 壊したくなかったんだ…。」 今の生活は失いたくなかった。 「そっか。確かにな。」 今の生活が壊れるくらいなら、恭介に対する気持ちをしまっておいた方がましだった。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

53人が本棚に入れています
本棚に追加