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いきなり恭介に抱きしめられて
驚きが隠せなかった。
「違う…。そんなんじゃない。珍しかったとか…そんな風に思ったことない。」
違う…?
僕の勘違い…?
「初めてあったとき、お前は居場所がないって言っただろ?…昔の俺もそうだったんだ。…居場所がなかった。」
恭介が…?
考えられない。
「俺と同じ思いで生きていってほしくなかった。助けたかった。だから拾った。」
“助けたかった”
その言葉が身にしみてリピートする。
嬉しさでさらに涙がでた。
「でも、いつの間にかお前を意識するようになった。…ドキドキした。…俺も…
咲矢が好きなんだ。」
嘘…。信じられない…。
「ふぁっ…うっ…ほんとに…?」
涙が溢れてとまらなかった。
「本当。この気持ちがなんなのか
分からなかったけど、咲矢に好きって言われて気づいたんだ。…咲矢が好きって。」
照れながら言う恭介は
なんだかかわいかった。
「うっ…わあぁぁん…!!」
嬉しさで涙がとまらない。
「もう…。悩んでたのがバカみたいじゃないか、僕。」
「早く言ってくれればよかったのに。」
「いえる訳ないだろ。今の生活を
壊したくなかったんだ…。」
今の生活は失いたくなかった。
「そっか。確かにな。」
今の生活が壊れるくらいなら、恭介に対する気持ちをしまっておいた方がましだった。
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