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学校は今までほとんど行かなかったが
恭介の家に住むようになってから、
一緒に行くようになった。
学年は違うけど、登下校とかお昼は
一緒にいてくれた。
それが当たり前になっていた。
と、同時に恭介を意識するように
なっていた。
放課後、いつものように恭介と
一緒に帰っていた。
毎回思うのだが、恭介が歩くと
まわりの人は“恭介さん、お疲れっす!!”
とか、学年関係なく、そういう声がよくする。
恭介は本当に有名人みたいだな。
そう思うと、僕が拾われた理由は
ただ珍しかっただけだからなんじゃないかと思う。
僕が恭介を知らなかったから。
だとしたら、飽きられたら
捨てられる?
僕が恭介を…好きになったら…。
好き…?
僕は…恭介が好き…なのか?
「ごめん、恭介。僕、教室に忘れ物してきた。
先帰ってて。」
「待っててやるよ?」
「いや、いいよ。すぐ追いつくから。」
「そっか。わかった。」
僕は校舎に向かって走った。
でも、教室に向かったわけじゃない。
忘れ物なんかしてない。
恭介が見えなくなったのを確認して
そのまま校舎裏に行った。
「ははっ…。本当に…どうしよう…。」
そうか…いつの間にか僕は、恭介を好きになっていたんだ。
でも、恭介がこの気持ちを知ったら…。
「…っ。」
目から自然と涙があふれた。
きっと知られたら嫌われる。
今の生活がくずれる。
それだけは嫌だった。
でも、今の気持ちのまま恭介のところに
帰ったら、好きな気持ちがふえるばかりだ。
そして苦しくなる。
僕はそのまま帰らなかった。
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