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『いやホント、ミサキには申し訳ないと思ってるんだけどね。C区のビジネス街、分かるでしょ? ……うん、そう、そこそこ。いや、僕ちょっと気になったからユキカゼに調べてもらったんだけど──明日そこのビル地下ですごい大規模な“オークション”が開かれるらしいんだよね。ああ、もちろん“まともじゃない方”の──って、こら。そんな嫌そうな顔しないの。……まったく。ミサキってばホントに面倒くさがりっていうか、怠け者っていうか──三年寝太郎? 的な? いや、まあいいんだけど。それでさ、オークションなんだけど──開催するんだよね、うん。開催しちゃうんだよね、これが。しかもなんとびっくり、天江グループの古御堂が主催。懲りないよねー、この間散々な目にあったばっかりなのに──ああ、その時はミサキ、お疲れさまでした。地下の施設ごと破壊、なんて僕の期待以上だったよ。見事な手際だったよ。ていうか、まさかそこまでやるとはね。君ってちょっと何するか分かんないところがあるから面白いよ。スイッチ入ると豹変するし。ところでさ──』
『──ミサキ、明日ヒマだよね?』
……と、そんな本気で申し訳ねえことを玖久々利 未早が唐突かつ長々とのたまったのは、昨日の昼間のことである。いやだ、いやだと言いつつも毎回強引に押しきられてしまうこの性格、我が事ながら何とかしたい。
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