鬼ごっこであの世行き

184/194
前へ
/201ページ
次へ
「お前は女なんだから、そもそも褌なんかいらねぇだろ。それに他の奴らは素っ裸なんだから、見えてもなんとも思わねぇよ。」 『だったら土方さんが素っ裸で生活すればいいじゃないですか!!すでにいろんな女の人に見せてるんだから、今更隠しても仕方ないでしょ!』 斎藤さんにしか見せてない立花と一緒にしないでもらいたい。 「あ゙?てめぇ…ふざけんなよ…」 『ふざけてるのは土方さんじゃないですか!この褌の純潔まで奪おうとして。』 「…は?褌の純潔?何言ってんだ、お前…」 『しらばっくれないで!立花の褌手拭いを(けが)しておいて!』 立花はすくっと立ち上がる。 汚れちまった褌に 今日も小雪の降りかかかる 汚れちまった褌に 今日も風さへ吹きすぎる 立花は中原中也の詩歌を口ずさみながら、褌手拭いの悲しみに思いを馳せる。
/201ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1870人が本棚に入れています
本棚に追加