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「ねえ、角飛君」
「ん?」
「私達、帰れるかな?
怖いんだ・・・昨日も、今日も、死んじゃった人の報告とかあるし」
不安を隠せない美咲に、角飛は微笑み掛けた
そして、落ち着かせる様に続けた
「大丈夫、ここに選抜された一ヶ月前言ったろ?
何があっても俺が美咲を死なせないよ、阿含先輩と皆で帰ろう?」
「・・・うん、ありがとう角飛君」
そんな二人の様子を眺める者がいた
チームリーダー、八王子阿含だ
「俺がしっかりしねーとなぁー」
そう呟き、阿含は角飛達に歩み寄る
「よーう!相変わらず仲の良い事で!」
「阿含先輩!どうしたんですか?」
「はっ!作戦会議の時間だぜガク!」
「はい!美咲も行こう?」
「うん」
彼等が選抜された一ヶ月前、その前日に、美咲は兄をこのゲームで亡くしていた
警察官だった彼女の兄は、仲間を守ろうとして命を落としたのだ
だが、美咲はその事を知らない
兄の死の真相を突き止める、その為にも彼女は戦い続けている
「さーて、皆集まったか!
って・・・少ないなぁ!
他の奴等はどうしたこの野郎!」
阿含の問い掛けに、答える者はいなかった
だが、阿含と角飛はすぐに察した
戦い、命を落とす事を怖れ、前線での戦いから離れようとしている
このゲームでは、そんな者は少なくなかった
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