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出入り口でその先輩に話しかけられていた女の子の一人が陽華に向かって小走りでやってきた。 「あ、あの、日野さん…だよね?『火島先輩』って人が呼んでるんだけど…」 女の子は、陽華の左胸についた名札を確認しながら用件を伝えた。 「…へっ?」 陽華は間抜けな声をあげた。 「火島」なんて人、知り合いにはいないはずだ。 ましてや、今日入学してきたばかりなのに、なぜ見知らぬ先輩に自分の名前を知られているのだろうか。 様々な疑問が頭の中に渦巻いているが、とにかく呼ばれているのなら行くしかない。 「ごめん、ちょっと行ってくる」 結衣に短くそう告げ、陽華は教室を後にした。
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