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(私…なにされるんだろ…) 陽華は、先輩――火島熱志(かしま あつし)をチラッと見た。 見た目からしてなんか危なそうな感じだし、怪しいことをされるようなら逃げよう。 教室から少し離れた誰もいない渡り廊下を、陽華は熱志と一緒に歩いていた。 なぜか熱志と陽華の間にも女子がいたが、陽華はとにかく熱志が怖くて俯いてばかりいたので、どんな人なのかは全然見ていない。 大丈夫、いざとなったら逃げてやる、と陽華は自分を奮い立たせた。 歩くこと3分。 陽華の教室がある北校舎を出て、渡り廊下から南校舎に移り、四階に上がった。 三人の間に会話はなかった。 というのも、陽華は怖くて何も言えなかったし、同じように呼び出されたらしい女子も何も話そうとしなかったからだ。 それに、教室を出た時は緊張して気づかなかったが、熱志は鼻歌を歌っているようだった。 なんだか陽気そうな人だな、と思ったその時だった。
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