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まだ肌寒さが残る春の初め。 だというのに、陽華は汗だくだった。 「ま…間に合った…」 肩で息をしながら、人もまばらな校門をくぐる。 案内をしてくれる先輩方も、ちらほら自分の教室に帰ろうとしている。 時間は8時23分。 飛ばしに飛ばして、13分で到着した。 「えーっと…私の教室は…」 校門に入ってすぐのところにある大きな掲示板を凝視して、自分の名前を探す。 「日野…ひ……あっ、あった!」 1年3組25番。 この高校に入って初めてできた、自分の肩書き。 「ふぅ、疲れたぁ~!…一年の校舎ってどれだろう…」 一難去ってまた一難。 陽華は再び息を切らすことになった。
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