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陽華が息を切らしながら教室に足を踏み入れると。
「あ、陽華!!いつ来たの~?遅いよー!!」
「ごめんごめん、寝坊しちゃってさー」
陽華の中学からの友達、浅倉 結衣(あさくら ゆい)が陽華に文句を言った。
陽華はそれを笑いながら受け流す。
この高校には、陽華の知り合いが多く通うことになっている。
なぜなら、この高校は陽華が先月まで通っていた中学のすぐ近くにあって、特別力を入れて学びたいものがあって遠くまで行く気がなければ、大抵の人はここに来るからだ。
この高校は「私立日ノ丘高校」。
創設者は陽華の曾祖父だ。
二十年ほど前までは創設者直々に理事長を務めていたそうだが、もう退職してしまった。
現理事長は陽華の祖父だ。
それが知れたら「日野陽華は身内のコネで入学した」という噂がたちそうだから、陽華はあまり言いたくないと思っている。
コネなんて使っていないけど。
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