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「…ん?どうかしたの?」
林花が何かに気がついたような声をあげたので、私は思わず聞いてしまう。
すると林花は、封印したはずの名前を口に出した。
「陵宮くん、アメリカで元気にしてるかなぁって。心臓病が治るといいけどさ」
え……?廉くんが心臓病って、何?
廉くんの名前の後に続いた、私が知らない真実。林花の言っている意味が全く分からない。何で、廉くんの引っ越しの裏側を知っているんだろう。
「………ねぇ、林花…。廉くんが心臓病って、どういう事?何でアメリカに?九州のどこかに引っ越したんじゃなかったの!?」
「え…あ、いや!ち、違うよゆめ!それは……っ」
私が声を荒らげた事に気づいた林花はたじろいで、慌てて訂正しようとしどろもどろになる。
遅いよ。訂正なんか出来ない事を言ったんだから。
「嘘…、ついたの………っ?」
涙目になって林花を問い詰める。林花はもう誤魔化しきれない事を悟って、後悔の念が混じった声で話を切り出した。
「………ごめんね、ゆめ。陵宮くんに、ゆめには黙っててほしいって言われたの」
「廉、くんが…?どうして!?」
林花の肩を思い切り掴んでしまい、動揺しているのが顔に出ているせいか興奮している私を林花は諭した。その顔は申し訳ない気持ちや親友に嘘をついてしまった後ろめたさが入り交じっていて、悲しげに歪んでいる。
「お、落ち着いてゆめ!…陵宮くんは、自分が心臓病を患ってる事を知ってずっと悩んでたんだよ。転校の話も進んでる時に、うち聞いてみたの。ゆめはどうすんのって、まだ知らないでしょ、って…。」
林花の目に涙が浮かんで、それが、零れた。
廉くんから聞いた話を思い出したのか、溢れる涙を止められない。
しゃくあげる林花に、私は続きを話すように促した。
「…そしたら、何て…?」
「………ゆめの…、重荷には、なりたくないから……っ、自分から…、手放す、って……!!」
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