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Chapter3《揺れる想い》
あれから数日後、廉くんの真実を知ってしまった私は学校には行くようになったものの、どこか虚ろになったような日々が続いた。
屋上のベンチで、一人で過ごすのが多くなったような気がする。
彼女でありながら、廉くんが心臓病で悩み苦しんでいるのを気づいてあげられなかった事が、私をギリギリと締め上げていた。
後悔。
自分への憤り。
悲しい真実………。
「……もう、分かんないよ…。どうしたらいいの…」
つい、そんな事を呟いてしまう。
何だか、心が底なし沼に嵌まったようで、その闇から抜け出せない。
「……廉くん…………っ」
もう、昔のようには戻れない。それでもまた、そばにいたいと願ってしまう。
この気持ちは、間違っているのだろうか。
でも、その答えを教えてくれる人なんてどこにもいない。
体を屈めて、腕に顔をうずめて泣いた時だった。
「………美乃谷?」
温かみのある優しい声。
純粋とも言える黒のカットヘアー。
守護神と謳われた、長身の体…。
「何かあったのか?陽森が心配してたぞ」
「……東、藤…っ、せんぱ……っ!」
「っ!!ど、どうした!?何か嫌な事……」
「ぅぁぁああ……っ!」
いつの間にか、東藤先輩を強く抱きしめて泣いていた。
先輩が、光へと導いてくれた。
そんな気がする。
先輩は、私の暗めの茶色い髪を撫でながら黙って受け入れてくれる。
たぶん、一生分の涙を流したと思った。
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