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「……………………えっ?」
分からない。
君の言ってる事が。
何で?
どうして?
私、嫌な事した?
そんな言葉が頭の中でぐるぐると渦巻いて、音を立てて崩れていく温かい幸せ。
ただ分かるのは、私の恋が、君の一言で終わりを告げたという事だけだった。
ーーーーー……………
「優芽。………別れよう」
いつもより冷たい声が、自室で儚く響く。
去年から付き合っていた同い年の、陵宮廉が私に別れを告げた。
彼を好きになったのは高校一年生の時で、貧血で倒れた時に介抱してくれた事がきっかけだった。
けど今は、私を癒やしてくれている笑顔はそこにない。
代わりに、冷たい瞳でじっと見据えている。
混乱しながらも、私は廉くんに理由を聞いた。
「………どう、して?私、何かしたの?嫌な部分があったなら教えて?ちゃんと直すから…!」
「うんざりなんだよッ!」
「…………………っ!」
今まで聞いた事がなかった廉くんの怒声に、思わず足がすくんだ。
一体どうしちゃったの?
何で、怖い顔してるの………?
廉くんは荷物をまとめて支度し、部屋を出る間際に言った。
「こんなサイテーな男より、お前は別の奴といた方が幸せだろ。お前の前には二度と現れねぇから。……だからもう、俺に会うな」
「廉……、くん………っ」
声を絞って君の名を呼んだ。
けど、血を吐くような声で私の叫びを拒む。
「呼ぶなよ……っ、もう俺はお前の男じゃねぇし、無関係なんだからさ。普通でいようぜ?だから廉くんって呼ぶな」
「……ん、で…っ、やだよ…行かないで!」
「……っ!!」
泣きながらすがりつこうとしたら、突き飛ばされて床に倒れ込んでしまった。
廉くんの顔がまるで自分の行為を後悔するかのように歪んでいる。
「……じゃあな」
廉くんは私の前からいなくなり、数日後は別の学校に転校してしまった。
クラスメイト曰わく、九州の方へ引っ越したらしい。
もう、あの笑顔を見る事はなく、温もりに抱かれる事もない。
部屋に残ったのは、君と別れたという事実と、孤独だけだった………。
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