Chapter2《真実は時に悲しくて》

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Chapter2《真実は時に悲しくて》

もうすぐ春。 それを告げるかのように、桜の木に新芽が芽吹いている。 私は、二ヶ月ぶりに学校に復帰した。 「美乃谷!」 「あ…、東藤先輩」 私が通っている高校、創史学園は部活がとても盛んで、学園の花形と呼ばれている男子バスケ部はインターハイの常連として有名なほど強い。 廉くんも、転校してしまう前はバスケ部のエースとして活躍していた事を覚えている。私が廉くんに恋をしたのもその時だった。 先輩の東藤隼司さんはバスケ部のキャプテンで、通称(守護神)と言われるほどの名ディフェンダー。とても気さくな性格で、学園の人気者なのだ。 「久しぶりだな!…もう大丈夫なのか?」 先輩は最後に心配そうな声でそう言ったけど、私は先輩に笑顔で答える。 「もう、大丈夫です。廉くんは遠くへ行っちゃったけど、頑張る事にしましたから」 「…そうか」 切ない顔になりながらも、先輩はそれだけ言うと頷いてくれた。この器の高さに、どれだけ救われただろう。 先輩と話した後、私は教室に行って授業を受けた。長い間授業を受けなかったせいか、小テストの点数が最悪な結果で終わった。 「……さすがに、休みすぎたなぁ…」 赤ペンで点数が走り書きされた答案用紙を見て、思わず苦笑いしてしまう。 肘をついて、窓の外を眺めて思いふけた その時、後ろから声がした途端に思い切りハグをされた。 「ゆめ~っ!!」 「わっ…!り、林花?」 ふわふわした茶髪のロングヘアーを靡かせたこの子は、陽森林花(ひもりりんか)。 クラスで一番の親友で、よく相談に乗ってくれるので頼りに存在だ。 そんな林花に、涙声で言われてしまう。 「もう!学校ずっと休むしメールも来ないしさぁっ心配したんだからね!?」 「う、うん。ごめんね。もう大丈夫だから」 「本当に?まぁ、ゆめの事だから大丈夫か!うん!……あ」
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