出来る男(イラスト:深夜零時様)

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 朝、ベッドから出てリビングに行くと、彼がネクタイを締めながら、窓の外を見ていた。  眼下に広がる大都会に、何を思っているのだろう?  気付かれないようにそっと近付いて、後ろから彼を抱き締めた。 「おはよう」  起きて真っ先に挨拶出来るのが大好きな人で本当に嬉しい。 「おはよう」  彼は微笑むと、私の方に向きなおって、私のおでこに軽くキスをした。 「もう仕事?」  たずねると、彼は頷いた。 「ごめんな。今日ももういかないと…。本当は一緒に朝食食べたかったんだけど」  彼がすまなそうに私に言う。 「ううん」  私は彼に微笑む。大丈夫。気にしないで。だって、もう出来る男の顔になってる。  でもね、恋人としての顔は私だけに見せてね。心の中で彼に語りかけながら、私は彼を送り出した。  出来る男の顔をした、私だけの愛しい人。image=463497008.jpg
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