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朝、ベッドから出てリビングに行くと、彼がネクタイを締めながら、窓の外を見ていた。
眼下に広がる大都会に、何を思っているのだろう?
気付かれないようにそっと近付いて、後ろから彼を抱き締めた。
「おはよう」
起きて真っ先に挨拶出来るのが大好きな人で本当に嬉しい。
「おはよう」
彼は微笑むと、私の方に向きなおって、私のおでこに軽くキスをした。
「もう仕事?」
たずねると、彼は頷いた。
「ごめんな。今日ももういかないと…。本当は一緒に朝食食べたかったんだけど」
彼がすまなそうに私に言う。
「ううん」
私は彼に微笑む。大丈夫。気にしないで。だって、もう出来る男の顔になってる。
でもね、恋人としての顔は私だけに見せてね。心の中で彼に語りかけながら、私は彼を送り出した。
出来る男の顔をした、私だけの愛しい人。
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