1. 運命の出会い

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私は17歳のこの年まで、ずっと母親以外の人間とは接触せずに生きてきた。 「お前は死んだ事になってるんだからね、絶対町に降りたらだめよ」 こう言われていたから、私は山奥にある使い古されたロッジのような場所で、母親と二人で暮らしていた。 生活費は私が生まれる前に母が貯金していたお金を切りくずし、あとは二人でクッキーなどのお菓子を作ってはそれを母が持参し、山を超えた遠い街へ出てお金にかえていた。 「これでも名家のプライドは捨てられない。体だけは売れない」 これが母の口癖で、自分を知っている町へは結局一生降りる事は無かった。
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