序章
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琴音はその笑みに少しの恐怖を覚えた。 優に、シフトの時間は過ぎていた。 黙った琴音を男はチラリと盗み見ると吸殻を光沢のある黒い靴でジリッと踏んだ。 男の瞳には一度捕らえた獲物は離さないというような、鋭さと冷たさがあった。 「あの、私急いでるんで」 くるりと背を向け歩き出そうとした琴音の背後で何かが鳴った。
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