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diary1
高校2年の秋―…
呪文のように唱えられる数学の方程式を耳にいれながら窓の外を見る
少し前まで青々と木々に葉をつけていたのに今は疲れはてた葉が枝にぶら下がっていた
ひら、と一枚枝から葉が離れていきヒラヒラと飛んでいくのをぼーと眺めていくと何者かの手にその葉は吸い込まれていった。
白衣を着て眼鏡の黒髪なんて人はこの学校に一人しかいない。
まだ新人で可愛いと周りに騒ぎ立てられている笹木 健人…先生。
一応保険医らしい
何度か過呼吸になった時にお世話になった覚えがあるような気がする
「あ、けんけん外にいるよ」
前に座っている女子が気づいたらしく窓の外を指差しながら友達と話している。
てかけんけんって…
もうちょっといいあだ名は無かったのかな
思わず頬がひきつる感覚も覚えながらポッケに入れておいたアメを口に放り込んだ…
『げ、これバナナだ…』
なんの味か確認しなかった自分に後悔しながらも今更吐き出す訳にもいかず大人しく顔を歪ませながらアメをなめ続けていた。
でもきっと周りは私が顔を歪ませてるなんて気づかないんだろうな…
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