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そこには4人の子供達がいた。
「九狐様、大丈夫だよね?」
涙で潤んだ瞳で子供達は九狐を見上げる。その瞳の涙は不安と恐怖の塊のように思えた。
九狐はしゃがみ、子供達と目線を合わせ
「大丈夫よ。だって、私がいるもの」
そう言った。それを聞いた子供達は笑顔をうかべ、一斉に頷く。そんな子供達を1人1人、九狐は抱きしめた。
「さあ、青髪のお姉ちゃんの言うことをちゃんと聞いて逃げなさい。絶対に私が守ってあげるから。」
リリィはいつの間にか、他のメイド達を統率し、ヤグルシの国民達を誘導していた。
子供達はもう一度頷くと人の流れに倣った。
「葵衣、行くわよ。」
子供達を見送った後、九狐は立ち上がりそう言う。
「俺も戦闘できるようにした方がいいか?」
「一応。保険として、そうしておいてちょうだい。」
「分かった」
葵衣の雰囲気が変わる。青かった今までの瞳は薔薇のように真っ赤に染まり、肌は雪のように白くなる。犬歯は伸び、吸血鬼のそれを示す。
(絶対、相手にしたくないわぁ…)
そんな思考を巡らせ、ふと外を見る。
『ドンッ!』
その音と硝煙は、九狐に状況を理解させるには十分過ぎた。
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