1章:狐と老巨人

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「撃ってきたぁ!?」 九狐は大声で驚きを示す。隣の葵衣はあくまで冷静に双眼鏡で覗く。 国民達は九狐の声を聞き、慌てふためく。リリィの誘導が崩れだした。 (しまった!!) 「みんな!大丈夫!撃ってきたのはただの大砲!撃ち落とすには何の問題もないから!」 国民を安心させようと九狐は叫ぶ。そこに葵衣が口を挟む。 「いや、それは違うぞ、九狐」 「もう!なによ!何が違うのよ!?」 「見てみろって」 葵衣の言うとおり、九狐はすぐさま外を見る。 「はぁ!?」 九狐が見たのは巨大な鉛玉の上に乗った老人だった。 「マグナス先生!?」 「あの人、何白白だっけ……」 さすがの葵衣もこれには苦笑いだった。 「撃ち落とすわけにもいかないじゃない!もう!」 九狐は何の変哲も無い木製の杖を取り出し、十字に振る。 途端に鉛玉は蜘蛛の巣に捕らえられたように失速する。その時の玉と城の距離僅か3メートル。まさにギリギリだった。
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