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「撃ってきたぁ!?」
九狐は大声で驚きを示す。隣の葵衣はあくまで冷静に双眼鏡で覗く。
国民達は九狐の声を聞き、慌てふためく。リリィの誘導が崩れだした。
(しまった!!)
「みんな!大丈夫!撃ってきたのはただの大砲!撃ち落とすには何の問題もないから!」
国民を安心させようと九狐は叫ぶ。そこに葵衣が口を挟む。
「いや、それは違うぞ、九狐」
「もう!なによ!何が違うのよ!?」
「見てみろって」
葵衣の言うとおり、九狐はすぐさま外を見る。
「はぁ!?」
九狐が見たのは巨大な鉛玉の上に乗った老人だった。
「マグナス先生!?」
「あの人、何白白だっけ……」
さすがの葵衣もこれには苦笑いだった。
「撃ち落とすわけにもいかないじゃない!もう!」
九狐は何の変哲も無い木製の杖を取り出し、十字に振る。
途端に鉛玉は蜘蛛の巣に捕らえられたように失速する。その時の玉と城の距離僅か3メートル。まさにギリギリだった。
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