序章:狐と幼なじみとメイド

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「でも、負ける気はしてないだろ?」 葵衣はからかうように言う。 「冗談。戦争が始まったら、厳鉄も黙ってないし、単純な力比べって訳にもいかないわ」 九狐は葵衣の質問には答えず、上手く話を逸らす。 「ミョルニル軍国は戦闘集団だからなぁ…正直、俺でもあそこの一小隊とはギリギリだろうな」 葵衣も諦めたのかそれ以上、同じ質問はしなかった。 「ギリギリでも勝てるのね」 「当たり前だろ。腐っても俺はヤグルシ連邦の№2だぜ?」 「信用してるわよ?」 「任せとけ」 カラカラと2人は笑いあう。そんな時、扉が開き、リリイが入ってくる。 「九狐様、マリアンヌ様からご連絡が入っております」 「了解。こっちから繋ぐわ。」 「分かりました」 リリイはペコッと小さく礼をし部屋から出ていった。 「この連絡が朗報か悲報かってとこね」 「そうだな」 九狐は言葉を紡ぐ。 「王の名の下に。来たれ。『ガーネット』」 右手に光が集まり、その名の通り、巨大なガーネットの宝玉が付いた杖が現れる。杖からは神々しさが滲み出ており、九狐が王である所以が伺われるようだった。
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