1章:狐と老巨人

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「こちら、九狐。マリアンヌ、聞こえる?」 九狐が杖に呼び掛ける。 「こちら、天伊 九狐近衛部隊『文絵』部隊長のマリアンヌ。感度良好です。」 杖から若い女の声が返ってくる。 「了解。で、どうだった?ミカエルとの交渉は難しかったんじゃない?」 「えぇ。ですが、傭兵部隊の増援は可能の事です。」 「おお!今どこにいるの?」 「カンタル傭兵地域です。ミカエル様に代わりましょうか?」 「うん。そうして頂戴」 少し待っていると 「九狐、俺だ。」 ピリッと締まった男の声が杖から発せられる。 「ミカエル、サンキューね」 対して九狐はフランクな感じで杖に声を投げる。 「別に。俺は反対だったんだがな。」 「ん?じゃあ、なんで?」 「それは――「それは、私が許可したからっさ!きゅーちゃん!」 どこか品を感じさせる女性の声が返ってくる。 「その声は姉さん?」 「そう!姉さんこと、神唄 奈野(カミウタ ナノ)おねーさんさっ!」
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