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「神唄さん、いるのか…」
葵衣が苦い顔をする。
「その声は、やっくんかい?」
「やっくん…」
九狐が復唱し、思いっきり吹き出す。
「ちょっと、やっくんは止めてくれって、言ったでしょ!」
葵衣が大きな声で反発する。
「夜企だから、やっくん!これは決定事項だよ!」
やっくんこと、夜企 葵衣(ヤキ アオイ)が頭を抱え、最悪だ…と呟く。
「それはそうと姉さん、ありがとうございました。」
「別にいいよ~そろそろ来そうなんでしょ?」
今までのふざけた感じから一変、奈野は急に真面目な声になり尋ねる。
「ええ。近々、開戦でしょうね…」
「私たちも身の振り方考えないとね、ミカエル」
「ん、あぁ。そうだな。」
「その時は、私たちヤグルシをよろしくお願いしますよ?」
「ふふっ、ダメだよ。私たちは中立地域だかんね」
「今度、ご飯でも食べに来てくださいよ。美味しいもの用意しておきますから。」
「じゃあ、ご飯は食べに行こうかなぁ。ふふっ」
「お待ちしております」
楽しむような2人の会話。しかし、その裏に含まれる駆け引きの量は一般人が引く程の数だ。
「じゃあ、マリちゃんに変わるねぇ」
それを最後に奈野とミカエルは声を潜めた。
「マリアンヌです。」
「なるほど、マリアンヌだから、マリちゃんか」
「だそうです」
ハハッと乾いた笑いが返ってくる。
(おっと、これ以上いじるのはよくなさそうね)
「じゃあ、マリアンヌ、気をつけて、帰ってきてね」
「分かりました。」
ブツッという音と共に通話が終わった。
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