過去【前編】

2/23
前へ
/335ページ
次へ
「やった!椎乙も康太も同じクラス!」 クラス分けの掲示板を見て嬉しそうに跳び跳ねる黒髪の少女――綾乃。 椎乙は呆れたような顔で綾乃を見やり、綾乃が「嬉しくないの!?」と突っ掛かる。次第に二人は言い合いになって喧嘩を始める。 それを俺が宥めて、最後にはみんなして笑う。 いつもの光景。いつもの三人。 中学三年生になった俺達を見る周りの人は「またか」と言って笑ってる。 俺はそれが幸せだった。 こんな毎日がこれからも続くと思っていた。 康太「――どうかしたのか?」 夏休みが開けてからだ。 異変に気付いたのは。 .
/335ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4851人が本棚に入れています
本棚に追加