4851人が本棚に入れています
本棚に追加
【紫鶴side】
紫鶴「ふぃ~、ただいま――っと」
重い段ボールを机の上に置いて一息着く。
和仁君と真尋先生は遅いから置いてきちゃった☆
紫鶴「西澤くーん、起きてるー?」
寝てるとかもうそんなの遠慮なしにカーテンを開けて中を覗く。
でもそこはもぬけの殻だった。
先に教室に戻ったんだろうか。
大丈夫かな…。
心配だけど、転校生君も戻ってるだろうしな…。
空き教室に置いてきちゃったから、多分相当怒ってる…と思う。暴れてないといいけど…。
紫鶴「――ま、榊先生がなんとかしてくれるでしょ」
困ったときの他人任せ!
なんて便利な言葉なんだろう!
俺は榊先生なら転校生君を止められるって信じてる…!
椎乙「……何一人で喋ってんの」
紫鶴「! 椎乙…」
シャッとカーテンが開く音がしたかと思ったら、呆れ顔の椎乙が顔を出した。
殴られた傷が痛々しい。
紫鶴「あ…えと……け、怪我はもう、大丈夫なの…?」
椎乙「…何その変な喋り方。気持ち悪い」
じゃあどうしろっていうんだよおおお!!
正直椎乙と二人きりとか気まずいよおぉぉ
俺椎乙に嫌われとるんとちゃうのん!?
話し掛けるなって言われなかったっけ!?
あれ?なんで今普通に話してんの?
わけわかめ┐( ∵ )┌
椎乙「…………話し掛けるなって言ったの」
紫鶴「ひいぃっ、ごめんなさい!」
椎乙「……あれ、嘘だから」
紫鶴「許してえぇ……え?」
え?
う、うそ?
突然のことにぽかんとしていると、
椎乙「間抜け面」
と言って椎乙に鼻を摘ままれた。
あ、あの椎乙が微かに笑っている…!
女神の微笑みだ。とっても美しいです椎乙様!
紫鶴「しぐまあぁ~…」
思わず抱きついちゃったけど、何も言わなれい。
寧ろ俺の背中に腕を回して抱き締め返してくれた。こんなことってあるのか…。
俺は感動のあまり涙が出そうになるのをぐっと堪える。
椎乙が優しい。
ツンツン女王様だった椎乙についにデレがやって来たようだ。
ようこそデレま!
待ってたよ!
俺、きっとこの日のために今まで生きてきたんだ…。
どんなに罵倒されてもめげなくてよかった。
頑張ったよ俺…!
過去の俺に教えてやりたい。
努力は報われるってことを。
椎乙「……紫鶴」
紫鶴「ひゃい」
椎乙に名前を呼んで貰うことなんて滅多にないから動揺して声が裏返った。
……恥ずかしい。
.
最初のコメントを投稿しよう!