4851人が本棚に入れています
本棚に追加
椎乙「この際だから言っておく」
紫鶴「う、うん」
真剣な表情の椎乙。
な、何だろう。こっちまで緊張してきた。
椎乙「勘違いしてるみたいだけど。
……別にお前のこと、嫌いじゃない…から」
エンダアアアアアアアアア!!
紫鶴「う、うぅ…」
椎乙「ちょ、何泣いてんの!?」
紫鶴「やって椎乙が…椎乙が俺のこと好きってぇ…」
椎乙「べ、べべべ別に好きとは言ってない!自惚れんなバーカバーカ」
紫鶴「ひどい!」
でも照れ隠しって丸分かり。
顔真っ赤にしちゃって可愛いハフハフ
孫を見るおじいちゃんのような顔で――実際は鼻の下伸ばして――椎乙を見ていたらしばかれた。
どうやら話にはまだ続きがあるらしく、「聞け」と椎乙の目が語っていたので大人しく隣のベッドに座って待った。
椎乙「――あいつのことだけど…」
あいつ?
あいつって誰だ。
椎乙「……康太だよ。西澤康太。
いちいち話の腰折んないでくれる?」
紫鶴「ごめん…」
椎乙の目が怖い。
椎乙「俺とあいつが幼馴染っていうのは知ってるだろ」
うん、西澤君に聞いた。
ああやっぱあの写真欲しいな…。今度頼んでみようかな。
――おっと、また話の腰を折るところだった。
俺が頷くのを確認して、椎乙はまた話し始める。
椎乙「でも、だからって俺と康太が仲いいって訳じゃない。……寧ろあいつは俺のことを憎んでいる」
紫鶴「え、憎…………何で?」
……真剣な話だ。俺も真剣に聞かないと駄目だ。
椎乙は少し言うのを躊躇ったけど、覚悟を決めたのか真っ直ぐに俺の目を見て言った。
椎乙「……俺が、綾乃を…あいつの好きな人を、
死なせたから」
椎乙の口から語られたのは、
残酷で、とても悲しい過去だった。
.
最初のコメントを投稿しよう!